抄録
幼児による音楽演奏を通じた感情的意図の伝達について調べるため,二つの実験を行った。実験1では,幼稚園児が,聴いている人を「楽しい」「怒った」「悲しい」気持ちにさせるように打楽器(タンバリン)の即興演奏を行った。演奏を分析した結果,感情が音量と打間時間の値に効果を及ぼしており,「怒り」を意図した演奏の音量は「楽しさ」を意図した演奏や「悲しみ」を意図した演奏のそれよりも有意に大きく,「怒り」を意図した演奏の打間時間は「悲しみ」を意図した演奏のそれよりも短い傾向があった。実験2では,大学生が実験1で得られた演奏の感情的意図を判断した。意図した感情が正しく伝わった率は,どの感情においてもチャンスレベルよりも有意に高かった。