本研究では,演奏の芸術性評価に影響を与える要因を検討するため,音階型・アルペジオ型旋律を刺激とする3つの実験を行った。各実験の参加者は,テンポが操作された旋律を聴き,その芸術性について単極10件法で印象評定を行った。その結果,全体的テンポや,テンポのゆらぎが生じる位置または範囲によって芸術性評価に有意差が見られ,テンポ操作に対する相対的評価が一般聴取者にも可能であることが明らかになった。また,テンポのゆらぎに対する聴取者の芸術性評価に影響を与える要因が,音階とアルペジオによって体系的に検証できる可能性も示唆された。
概要:本稿は音楽アクセシビリティ技術と,障害の有無を問わず誰もが共に楽しめる「共遊楽器」について論じる。音楽体験にまつわるアクセシビリティは障害の捉え方の転換によりインクルーシブデザインが重視されている。近年,テクノロジーを活用した音楽の可触化・可視化システム,直感的な演奏を可能にするインターフェースが開発され,世界各国でプロジェクトが展開されている。筆者は感覚代行とエヴェリン・グレニーやヘレン・ケラーを代表とした触覚による音楽体験をヒントに「共遊楽器」を開発した。これらの取り組みは,身体特性や感覚特性によらずすべての人にとって新しい音楽体験を創造する可能性を提示している。
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