ノリの良い音楽を聴くと,自然と身体が動き出す。この現象は,音楽の拍(ビート)を知覚し,その拍に運動を同期させる一連の能力(beat perception and synchronization, BPS)によって生じ,他の動物ではほとんど見られない。本稿では,BPSの進化的起源と神経機構に関する理論として「発声学習とリズム同期仮説」と「漸進的聴覚–運動進化仮説」を紹介する。そして両理論で重視される背側聴覚経路について,白質線維束に関する知見をまとめる。聴覚系と運動系を結ぶ神経構造とその機能を明らかにすることは,ヒトがなぜ音楽を聴くと身体を動かしたくなるのかという根源的問いの解明につながると期待される。
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