抄録
今日,いい音の追求は音楽以外でも必要とされ,音のデザインが必要な対象が広がってきている。また,音楽においても,鑑賞のためではなく,その機能的な役割を期待して,音のデザインの一要素として利用されることが増えてきた。音のデザインは音楽芸術と音響工学の融合領域に位置づけられ,製品音,サイン音,環境音,映像メディアの音などを対象とする。サイン音や映像メディアにおける音のデザインにおいては,調,音程,テンポなどの音楽的表現も有効に活用できる。また,今日の音楽制作は,音のデザインに支えられている。音楽知覚認知学会においても,ユニークな視点から音のデザインへの適用を視野に入れた研究が出てくることを期待する。