音楽知覚認知研究
Online ISSN : 2434-737X
Print ISSN : 1342-856X
量子化精度の異なるハイレゾ音源の弁別可能性およびその印象評価
勝呂 明央 三浦 雅展
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 23 巻 2 号 p. 111-120

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抄録
ハイレゾリューションオーディオ(以後,ハイレゾ音源)と呼ばれる時間解像度およびダイナミクス解像度の高い記録フォーマットが近年普及しており,CD音源よりも音質が良いと評価される場合が多いが,その要因は明らかでない。ここではダイナミクス解像度を表す量子化精度の違いに着目し,量子化精度による音質の違いについて調査している。聴取者の印象を得るため,Watermanらが行なった実験方法を参考とした印象評価実験が行なわれている。実験の結果,全4曲中3曲に対してハイレゾ音源はCD音源を聴取した場合に比べ,印象の変化を感じた回数が多いことが確認されている。また,印象の自由記述の結果より,ハイレゾ音源を聴取した方が回答に曖昧な形容詞が多く,CD音源に比べてハイレゾ音源の方が,より複雑な印象をもたらす可能性が示唆されている。
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© 2018 日本音楽知覚認知学会
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