多文化関係学
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研究ノート
外国人技能実習制度が実習生に与えた影響
帰国したインドネシア技能実習生たちの聞き取りから
岩下 康子
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2018 年 15 巻 p. 69-77

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抄録
本稿は、帰国技能実習生の調査活動をもとに、外国人技能実習制度(以下「技能実習制度」)が彼らに与えた影響についての一考察である。外国人労働者受け入れに関しては受け入れの是非を問う議論が1980年代に盛んに行われた後収束し、制度上の問題、実習生の人権問題や受け入れ企業の実態が議論の的となってきた。2010年度に法改正が行われ、実習生の労働者性が認められた後も、悪質な労働環境等がメディアに取り上げられ、人材育成は建前であるというイメージが定着したままである。一方、帰国した実習生たちのその後に関する研究は少ない。本稿は、帰国したインドネシア実習生を対象とし、技能実習経験がその後の彼らの人生にどのような影響をもたらしたかを考察する。方法としては、半構造化面接を用い、被調査者の了解を得てビデオに収め逐語記録を作成、分析を行った。技能実習によって、彼らは技能獲得以上に、日本語と日本人の勤勉さと追究心、仕事に対する情熱を学んだことがわかった。
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© 2018 多文化関係学会
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