多文化関係学
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活動のつながりと文化の創造
稲葉 光行
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2010 年 7 巻 p. 1-22

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抄録

本論文では、人々が自発性に基づいて連携し、お互いのリソースを提供し合い、協同しながら様々な社会問題の解決に取り組むネットワーキングの時代において、新しい文化創造の役割を担う人々の「活動システム」(activity system)のあり方について議論する。まず、活動システムのつながりと文化創造の関係について理解するために、「文化歴史活動理論」(Cultural-Historical Activity Theory:CHAT)の背景とその系譜について整理する。次に、文化歴史活動理論の枠組みを取り入れた協同的な学習実践のうち、米国での「第五次元プロジェクト」の一拠点として運営されているLa Clase Mágicaと、日本の事例である八幡子ども会議について紹介する。そして、それらの事例を、エンゲストロームが提唱する「拡張的学習」(expansive learning)の枠組みを用いて分析する。最後に、これらの2つの事例を手がかりとして、文化創造のための活動システムのつながりと、文化創造の担い手を育む学習共同体のあり方について議論する。

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© 2010 多文化関係学会
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