日本臨床看護マネジメント学会誌
Online ISSN : 2435-2691
患者分類システムを巡る研究動向からみた新たな臨床看護マネジメント
筒井 孝子
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 1 巻 p. 2-

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抄録
本稿では,医療提供体制において,国際的に主要なテーマとなってきた「患者分類システム」に係わる国外の研究動向をレビューし,患者の価値向上のために必要とされる日本における新たな患者分類システムと,この運用にあたって求められる臨床看護マネジメントの在り方について検討することを目的とした. 方法として,先行研究の探索については,主にPubMedとCinahl-databaseで患者分類に関するキーワードを用いて検索した.また,Journal of Advanced Nursing,Journal of Nursing Managementの2つのジャーナルについては,直接キーワードに係わる論文を探して補完した. 研究の結果,患者分類システムは,当初の適正な看護師人員配置のみを目的とした第1世代から,現在は,サービスの経費や医療資材等のコスト管理等,多くの病院経営の要素を含めた第4世代へのシステムへと移行していることがわかった. また,日本では,看護必要度が全国レベルで導入されて10年以上が経過し,第4世代のシステム構築とその維持に必要とされる患者の病態に関する評価データを収集する仕組みや,この情報収集に関する研修訓練,提供側のモチベーションの保持は諸外国に比して,優位な状況にあることが確認された. 今後は,この優位性を生かした第4世代の患者の病態分類システムを開発し,このシステムを基盤とした患者の価値を高めるための臨床看護マネジメントの手法を検討することが喫緊の課題と考えられた.
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© 2019 一般社団法人 日本臨床看護マネジメント学会
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