抄録
本研究は,管理栄養士による看護必要度項目の認知や,その活用に関わる現状を明らかにし,多職種連携の推進に資する方策を検討することを目的とする.方法は,4施設の急性期病院に勤務する33名の管理栄養士を対象とし,自記式質問紙調査を実施した.この結果,25名から回答を得た(回収率は75.8%).結果は看護必要度の院内研修受講経験は,25名全員が「なし」であった.栄養に関わる業務上で看護必要度の項目やそれに関わる情報を確認したことが「ある」は15名,「ない」は10名であった.また,入院患者の栄養ケアを実践する際に「一般病棟用の重症度,医療・看護必要度Ⅰに係る評価票」の項目を用いたことがあるかについて,その利用頻度をリッカート5点尺度で測定した.この結果,栄養ケアの実践にて活用する患者情報として,「食事摂取の介助状況」,「抗悪性腫瘍剤の有無」,「褥瘡の有無」,「放射線治療の有無」,「診療・療養上の指示が通じるか,通じないか」等が示された.これは看護必要度の情報が栄養管理業務にも利用できうる可能性を示したものと考えられた.ただし,看護必要度の情報を栄養士が利用し,多職種チームとして,院内でのケアを具体的に実践するためには,連携が進んでいない職種への看護必要度に関わる教育,研修が必要となると考えられた.