抄録
目的:循環器疾患に対する開胸術後と消化器疾患に対する開腹術後に疾患と術式を分け,術式の違いによる早期離床の阻害要因について比較・検討することを目的に文献検討を行った.
方法:データーベースは医学中央雑誌Web版,PubMedを使用し,「心臓」「血管」「消化器」「術後」「早期離床」などのキーワードを組み合わせて検索し,19件の原著論文を分析対象とした.
結果:循環器疾患に対する開胸術後の早期離床はガイドラインに準拠した離床プログラムが用いられていることが多く,消化器疾患に対する開腹術後の早期離床にはクリニカルパスや独自の離床スコアが用いられていた.循環器疾患に対する開胸術後の早期離床の阻害要因は「循環器由来」「呼吸器由来」などの合併症が多かった.消化器疾患に対する開腹術後の早期離床の阻害要因は「疼痛」が多かった.医療者の要因として,ドレーン・カテーテル類の留置が術後の離床阻害要因になり得るという認識が十分でなかったことが挙げられた.
結論:早期離床を促進するためには,医療者が患者および離床阻害要因をより理解し, 多職種で構成されるチームにおいて職種間の効果的な連携を強化することが重要であることが示唆された.