日本臨床看護マネジメント学会誌
Online ISSN : 2435-2691
看護師長による中途採用者の経験に焦点をあてた定着支援
修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる分析
佐瀬 美恵子
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 6 巻 p. 1-7

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抄録
看護師不足は深刻な問題であり、対策が必要である。本研究の目的は、中途採用者を定着させた経験をもつ看護師長の定着支援行動を明らかにする。先行研究によると、中途採用者は入職後に経験が認められないことによる定着の困難さを感じている。また、看護師長は経験がある中途採用者について定着の課題を感じている。しかし、中途採用者の経験に焦点をあてた定着支援についての研究は数が少ない。調査対象:中小規模病院、訪問看護ステーション等の看護師長13名、調査期間:2023年7月から9月、調査方法:半構造化面接を行い、修正版グランデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。結果:看護師長による中途採用者の経験に焦点をあてた定着支援について、【支援へのメンバーの巻き込み】【中途採用者の保護】【参入障壁の低下】【価値基準を明示】【存在を承認】【定着具合を確認】【新たな関係性の構築】のカテゴリーにまとめられた。これらは、看護師長による中途採用者の定着支援行動の要因であると考える。看護師長は、中途採用者の経験がメンバーに及ぼす反発を解消するために、中途採用者とメンバーとの相互作用において、自らの価値基準をもって働きかけを行っていたことが明らかになった。
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© 2025 一般社団法人 日本臨床看護マネジメント学会
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