日本看護技術学会誌
Online ISSN : 2423-8511
Print ISSN : 1349-5429
ISSN-L : 1349-5429
原著
ショートステイ利用高齢者の在宅時と入所時における睡眠覚醒リズム
角濱 春美
著者情報
キーワード: 睡眠, 高齢者, アクチグラフ
ジャーナル フリー

2002 年 1 巻 1 号 p. 11-19

詳細
抄録

 本研究は入所という環境変化を体験する高齢者の睡眠覚醒リズムを在宅から入所へと継続的に明らかにすることを目的とした. 睡眠覚醒リズムの判定には, 活動計 (アクチグラフ) を用い, 痴呆度はNMスケールを, ADLはBarthel Indexを用いて把握した.
 対象はショートステイを利用する高齢者11名, 平均年齢85.3歳で, 同施設での入所を3~20回経験していた.
 在宅時と入所時の睡眠データの比較では, 活動量, 睡眠時間, 覚醒時間, 睡眠の分断を示すSleep Episode, リズムの振幅を示すAmplitudeともに有意差は認められなかった. 視察法により睡眠覚醒パターンの分類をしたところ, ①在宅時 ・ 入所時ともに単相性睡眠であり, 昼夜明確な5例, ②在宅時 ・ 入所時ともに多相性睡眠で昼夜不明確な5例, ③在宅時不明確で入所時明確に移行した1例, の3つに分類できた. 昼夜不明確群は明確群に比し, 活動量が低く, 覚醒時間が短く, 睡眠時間が長く, リズムの振幅が低く, 統計学的有意差が認められた. さらに, 不明確群は, 痴呆度が高く (p=0.047), ADLが低い (p=0.0008) という特性を有していた.
 高齢者の援助を行うにあたっては, 高齢者個々の睡眠覚醒リズムの昼夜明確性に適応したケアを行っていく必要性があることが示唆された.

著者関連情報
© 2002 日本看護技術学会
前の記事 次の記事
feedback
Top