日本看護技術学会誌
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原著
婦人科外科患者における背部温罨法ケアの気分, 痛み, 自律神経活動への影響
縄 秀志
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2002 年 1 巻 1 号 p. 36-44

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抄録

 研究承諾が得られた子宮筋腫または卵巣嚢腫の開腹術を受ける患者4名を被験者とし, 術前から術後1週間, 継続して背部蒸しタオル温罨法ケアを行い, ケア前後の気分, 痛み, 自律神経活動の影響について検討した.
 気分の測定には研究者作成の 「とてもだるい (-4点)~とてもいい気分 (+4点)」 の9段階スケールを, 痛みの測定には Visual Analogue Scaleを使用した. 自律神経活動の測定には, 心拍変動スペクトル解析法の祖視化スペクトル (Coarse Graining Spectral Analysis) 法を用いた.
 背部ケアは, 気分の有意な上昇と痛みの有意な軽減をもたらし, 周手術期患者の主観的側面に効果のある介入であることが明らかになった.
 背部ケアは, 副交感神経活動が低く交感神経活動が亢進している場合には, 副交感神経活動を増加させ交感神経活動を低下させる傾向がある. また, 副交感神経活動が高く交感神経活動が低い場合には, 副交感神経活動を低下させ交感神経活動を増加させる傾向を示した. したがって, 背部ケアには, 副交感神経活動と交感神経活動を「ある (安定した) バランス」に整える作用がある可能性が示唆された.

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© 2002 日本看護技術学会
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