日本看護技術学会誌
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研究報告
手掌接触が体性感覚に及ぼす影響
藏元 恵里子木下 博恵吉永 砂織根本 清次
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2012 年 11 巻 1 号 p. 84-89

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抄録
 本研究は,ヒト対ヒトが接触した際の体性感覚の変動を理解する目的で,実験室的なモデルを構築し,健康な女性 10名を被験者として,左正中神経に対し感覚刺激を経皮的に与えた.刺激の間,験者は被験者の感覚刺激と反対側の手掌に接触し,刺激部位とは別の部位に身体接触を行うことが,刺激により生じている体性感覚になんらかの影響があるか考察を行った.感覚刺激に対する客観的な変化を体性感覚誘発電位 (somatosensoryevoked potential ; SEP) により測定し,主観的な変化を視覚アナログ尺度 (visualanalogue scale ; VAS) で調査した.手掌接触時における SEPの頂点間の電位差を接触前と比較すると,頂点間のN18-P24,P24-N33,および N33-P45間のいずれかに増加がみられた被験者は 10例中1例であり,VAS値では 10例中6例に減少がみられた.これらの結果から,感覚刺激に変化がなくとも,手掌接触により主観的な体性感覚を減少させる可能性が示唆された.
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© 2012 日本看護技術学会
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