日本看護技術学会誌
Online ISSN : 2423-8511
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11 巻, 1 号
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原著
  • 佐川 貢一
    2012 年11 巻1 号 p. 76-83
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
     本論文では,ストレッチャー回転時の乗り心地悪化を抑制する方法を提案する.ストレッチャーの回転速度と乗り心地悪化の関係は不明であるので,最小二乗法を利用して,乗り心地の悪化を推定するモデルを構築する.さらに,乗り心地を悪化させない回転法を探索し,実験的にその有効性を確認する.モデルは,さまざまな回転速度や回転時間に暴露されたときの乗り心地を,カテゴリー連続判別法を利用して1秒ごとに評価して求めた.そして,1秒ごとに角度を変えながら,4秒間でストレッチャーを 90度回転させるすべての経路を設定し,乗り心地悪化が最低になるような条件を探索した.その結果,理想的な回転は,1秒ごとに 44度,53度,84度,90度と進むような方法となった.通常回転法と理想的な回転法について,実験的に乗り心地を評価した結果,理想的な回転法は乗り心地の悪化を有意に抑制可能であることを確認した.
研究報告
  • 藏元 恵里子, 木下 博恵, 吉永 砂織, 根本 清次
    2012 年11 巻1 号 p. 84-89
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
     本研究は,ヒト対ヒトが接触した際の体性感覚の変動を理解する目的で,実験室的なモデルを構築し,健康な女性 10名を被験者として,左正中神経に対し感覚刺激を経皮的に与えた.刺激の間,験者は被験者の感覚刺激と反対側の手掌に接触し,刺激部位とは別の部位に身体接触を行うことが,刺激により生じている体性感覚になんらかの影響があるか考察を行った.感覚刺激に対する客観的な変化を体性感覚誘発電位 (somatosensoryevoked potential ; SEP) により測定し,主観的な変化を視覚アナログ尺度 (visualanalogue scale ; VAS) で調査した.手掌接触時における SEPの頂点間の電位差を接触前と比較すると,頂点間のN18-P24,P24-N33,および N33-P45間のいずれかに増加がみられた被験者は 10例中1例であり,VAS値では 10例中6例に減少がみられた.これらの結果から,感覚刺激に変化がなくとも,手掌接触により主観的な体性感覚を減少させる可能性が示唆された.
資料
  • 吉良 いずみ
    2012 年11 巻1 号 p. 90-97
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
     グリセリン浣腸は,近年実施に伴う有害事象の要因や技術の根拠を問い直す動きがある.日本におけるグリセリン浣腸の研究内容の動向を知り,現状の課題と今後の展望について検討する必要があると考え文献検討を行った.医学中央雑誌 web版 1983~2011年で「 (浣腸 andグリセリン) or (グリセリン浣腸) 」として検索した結果 62文献が得られた.研究内容と年代別の動向を検討したところ,グリセリン浣腸実施場面には「基礎教育における技術演習」「検査前処置」「実験室」「術前処置」「治療」「分娩前処置」「便通調整」「臨床現場」があった.また,有害事象の要因やグリセリンの作用機序に関する研究が進められ,実施方法や看護技術テキストの記載内容,安全な実施方法も継続して検討されていた.グリセリン浣腸は実施の必要性が検討され実施数が減少し他の方法に代替される傾向があるが,安全な実施方法や有用性は早急に提示される必要がある.
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