日本看護技術学会誌
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研究報告
意識レベルが低く便秘症状を有する高齢患者への温罨法効果の検討
─ブリストル便形スケールと日本語版便秘評価尺度による分析─
細野 恵子堀岡 恒子久光 雅美
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2013 年 11 巻 3 号 p. 28-34

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抄録

 便秘症状を有し活動レベルが著しく低い高齢患者 (平均年齢84±10歳) 25名 (男性4名,女性21名) を対象に,下腹部への長時間温罨法による湿熱加温刺激の影響と便通改善の有効性を検討する目的で,温罨法介入前後の便通状態と下剤使用量,浣腸 ・ 摘便の回数,バイタルサインの変化を測定した.温罨法には蒸気温熱シート (めぐりズム蒸気温熱パワー®肌に貼るシート : 花王株式会社製) を使用し,1日6.7±0.7時間の温罨法を7日間連続貼用した.便通状態の評価には『ブリストル便形スケール』と『日本語版便秘評価尺度 (CAS-ST版) 』を使用し介入前後の比較を行った.その結果,介入前後における便形スケール,便秘評価尺度,排便回数の有意な変化が示され,意識状態や活動レベルの低い高齢患者においても長時間の湿熱加温は便秘症状の改善に有効であることが確認された.また,収縮期血圧の有意な低下と拡張期血圧の減少傾向からリラクゼーション効果の可能性,皮膚および循環器系への影響のないことから長時間の継続的な本温罨法の安全性も示唆された.便形スケールは被験者の主観的情報が得られない場合でも便通状態の判定に有用であることが示唆された.今後の課題として,被験者からの主観的データが得られない場合においても客観的評価が可能となる評価方法の検討や尺度開発が必要と思われる.

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© 2013 日本看護技術学会
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