抄録
本研究は,変形性膝関節症患者への膝の疼痛緩和ケアによる疼痛の緩和効果を検討する基礎的研究として,健康な成人女性8名に対し安静,膝関節部への温罨法,および音楽聴取,さらに,温罨法と音楽聴取を組み合わせケア (以下組み合わせケア) の4種類のケアを実施し,その生理的 ・ 心理的反応を評価した.結果,組み合わせケアでは,s-IgA濃度と分泌率の両方がケア終了後に統計的に有意に上昇,増加した.組み合わせケアは,ケアを単独で行うよりも対象者に快適感をもたらし,免疫能を高める可能性が示唆された.またすべてのケアにおいて,心理的指標は統計的に有意な改善を示し,対象者の気分は改善することが示された.さらに,セミファーラー位で安静にするだけでも,対象者の気分が改善されs-IgA分泌率,および心拍変動に統計学的に有意な変化が生じていたことが明らかとなった.今後は変形性膝関節症患者を対象とした,ケアの疼痛緩和効果について明らかにしていきたい.