日本看護技術学会誌
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実践報告
複数クーリングが患者の深部温と血圧ならびに心拍変動に及ぼす影響
工藤 由紀子武田 利明
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2013 年 12 巻 2 号 p. 64-71

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抄録

 日本では看護師が患者の発熱時に腋窩や鼠径部等への複数クーリングを行うことが多いが,その効果については根拠が乏しい.今回,複数クーリングが患者の深部温,血圧,心拍変動に及ぼす影響について明らかにすることを目的に,患者3名の事例検討を行った.複数クーリングの必要性を決断したときの腋窩温は38.0~38.3℃であった.複数クーリングの方法は病棟で普段行われている後頭部,両腋窩の3点クーリングとした.その結果,1名は深部温が低下し,HFがやや上昇,収縮期 ・ 拡張期血圧,心拍数,LF/HFは変動が少なく安定していた.この事例の深部温の低下は複数クーリングによって解熱が図られたのではなく,発熱後の体温の下降期を示している可能性が推察された.また2名については深部温の低下が認められず,そのうち1名は拡張期血圧の低下,心拍数の増加がみられ,もう1名は収縮期 ・ 拡張期血圧の上昇,心拍数の大きな変動がみられた.

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© 2013 日本看護技術学会
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