抄録
本研究の目的は,しびれの評価のための基礎研究として,地域在住の高齢者のしびれの特徴と手指の触 ・ 圧覚,つまみ力 (第1指 ・ 第2指による),握力がしびれをきたす疾患の早期発見の評価指標として有用かどうかを検討することである.承諾の得られた106名 (男性31名,女性75名,平均年齢75.6歳) を被検者とした.まず被検者の両手でSemmes-Weinstein monofilamentを用いた触 ・ 圧覚,ピンチメータによる指つまみ力,握力検査をそれぞれ実施した.次に被検者をしびれあり群 (n=15),しびれなし ・ 疾患あり群 (n=18),しびれなし ・ 疾患なし群 (n=73) の3群に分け,触 ・ 圧覚,つまみ力,握力としびれとの関係をみた結果,有意差はみられなかった.しかし,しびれなし ・ 疾患なし群の右手では第4指の触 ・ 圧覚が左手では第5指の触 ・ 圧覚が最も高かった.他の2群では5指間に触 ・ 圧覚差はなかった.また,しびれのある者にはつまみ力と握力の左右差が消失していた.以上の結果から,しびれのアセスメントには触 ・ 圧覚,つまみ力,握力を精査することが有用である可能性がある