抄録
本研究の目的は全身清拭に関する知識についてのミニマムリクワイアメントを臨床看護師から抽出し,看護基礎教育における全身清拭に関する教育への示唆を得ることである.研究デザインはデルファイ法を用いた量的記述的研究とした.全身清拭の知識項目139項目中105項目が51%以上の同意となった.同意率の分類では大項目<入浴禁忌の条件>,<清潔援助方法の選択を判断するための観察の視点>,<入浴動作に伴う循環器 ・ 呼吸器への影響>,<全身清拭実施時の留意点>のうち52項目の小項目が高い同意となった.さらに51%以上の同意にいたらなかった知識項目は,139項目中34項目で<全身清拭実施時の必要物品>,<全身清拭の手順>の項目であった.以上の結果から,患者の状態判断と判断のための観察の必要性が示唆された.重症患者が増え今まで以上に観察力と判断力が求められていると考えられた.さらにコミュニケーション能力向上の必要性が示唆された.一方,51%以上の同意にいたらなかった知識項目については,看護の原理 ・ 原則を踏まえ整理する必要があると考えられた.