日本看護技術学会誌
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研究報告
手足の‘しびれ’と皮膚感覚感受性との関係
―糖尿病性末梢神経障害のある患者を対象に―
赤松 公子深井 喜代子
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2014 年 13 巻 2 号 p. 160-171

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抄録

 本研究の目的は,糖尿病性末梢神経障害によるしびれのある患者を対象に,手足のしびれの特徴と,しびれと皮膚感覚感受性との関係を明らかにすることである.糖尿病外来患者のうち,しびれがあり,右利きで65歳以上の20名に同意を得て,しびれの特徴について問診し,ついで手足の皮膚感覚感受性を測定した.
 20名全員の足にしびれがあり,手にしびれがあったものは8名であった.足のしびれの強さは手のそれとくらべて有意に強かった (p <0.01).これは糖尿病によるしびれが神経障害の進行とともに足から手へと漸次拡大する傾向があることを支持する結果であった.手にしびれがある患者 (n=8) と,ない患者 (n=12) の2群間で皮膚感覚感受性を調べたところ,前者では後者にくらべて環指の触 ・ 圧覚感受性が有意に低かった (p <0.05).この結果は環指の触 ・ 圧覚を経時的に測定することでしびれの進行を予測できる可能性を示唆する.また,手にしびれのある患者は,母指球の温覚感受性が有意に高く (p <0.05),温熱刺激に過敏な傾向であるため,罨法や温浴の際には患者に合った温度管理が必要である.

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© 2014 日本看護技術学会
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