抄録
ヒーリングタッチは,侵襲の少ない補完代替療法の一つである.本研究では,20歳以上の健康な成人20名 (介入群10名,対照群10名) を対象にヒーリングタッチ実施前後の気分の変化などについて二重盲検法による準ランダム化比較試験を実施した.その結果,実施前後の気分の変化 (POMS),身体的・精神的状態,身体生理的変化において,両群間の有意な差は認められなかった.その理由として,対象が健康な成人であること,安静臥床による休息効果,二重盲検法によるプラセボ効果などが考えられた.介入群では,POMSの 「抑うつ-落ち込み」 「怒り-敵意」,Vital Signs (VS) の 「脈拍」 において実施前後で有意な低下 (P <0.05) がみられ,対照群では 「活気」 が実施前後で有意に低下した (P <0.05).面接による質的データでは,介入群で触れられたような感覚,身体的な症状の軽減,精神的ストレスや気分の改善などがみられたことから,今後ヒーリングタッチの看護ケアとしての有用性をさらに検討していく必要がある.