日本看護技術学会誌
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14 巻 , 2 号
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論壇
原著
  • 須賀 京子, 渡邉 順子, 岩瀬 敏, 西村 直記, 清水 祐樹, 岩瀬 千尋
    2015 年 14 巻 2 号 p. 137-145
    発行日: 2015/08/20
    公開日: 2016/04/26
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,女性高齢者が継続的に実施するフェイスケア (化粧水と乳液を用いるスキンケア, 以下FC) がもたらす生体への影響について, 前頭前野における組織酸素レベルと自律神経反応から明らかにすることである.
     65歳以上の健康な女性高齢者18名 (平均年齢68±4歳) が,3週間のFCを継続して実施し,その初日と最終日に近赤外分光法 (NIRS) による前頭前野の脳組織酸素レベルと皮膚血流量, 心拍変動, 皮膚コンダクタンスを用いた自律神経活動を測定した.初日は安静時と比較してFC時に前頭前野における⊿deoxyHbの上昇が認められたが,血液量に変化はなかった.しかし,最終日には安静時と比較して血液量が低下した.また,初日と最終日でともに安静時と比較してFCでは心拍変動のHFの上昇を認め,副交感神経活動の亢進が示された.健康な女性高齢者自身が行うFCは,前頭前野の活動を抑制し,副交感神経活動を亢進させることが示唆された.
  • ―20 歳代健常成人による検討―
    古島 智恵, 井上 範江, 長家 智子, 分島 るり子, 村田 尚恵
    2015 年 14 巻 2 号 p. 146-155
    発行日: 2015/08/20
    公開日: 2016/04/26
    ジャーナル フリー
     本研究は,硝子体手術後のうつむき姿勢を想定した体位の保持に伴う苦痛に対する温罨法およびマッサージの効果を検証することを目的とした.
     健常成人22名 (21.5±1.8歳) にうつむき姿勢のみ,うつむき姿勢に加え温罨法実施,うつむき姿勢に加えマッサージ実施の3条件を実施した.うつむき姿勢保持は120分間とし,温罨法は開始45分後から肩部に42℃前後のホットパックを30分間,マッサージは開始45分後から肩~背部へかけ10分間実施した.測定項目は気分評価,主観的疼痛,心拍数,自律神経活動指標,皮膚温などとした.
     肩部温罨法および頸部から腰部にかけてのマッサージにより,うつむき姿勢による精神的な疲労を抑えられた.温罨法では頸部および肩部の疼痛,マッサージでは頸部・肩部・腰部の疼痛が一時的に軽減することも明らかになった.一方で,うつむき姿勢保持に伴う心拍数および交感神経活動の上昇に対する効果はみられなかった.また,うつむき姿勢保持に伴う皮膚温の低下に対しては,温罨法では直接作用する肩部の皮膚温を上昇させる効果は認められたが,マッサージでは効果は認められなかった.
  • 今井 美香, 平井 真理, 岩瀬 敏, 西村 直記, 清水 祐樹, 藤井 徹也
    2015 年 14 巻 2 号 p. 156-163
    発行日: 2015/08/20
    公開日: 2016/04/26
    ジャーナル フリー
     仰臥位と座位で排便に有効な怒責圧を負荷した際,循環系の反応に差異はあるか否かについて明らかにし,生理的に安全な排便姿勢を検討した.被験者は健常者10名 (年齢34.1±11.2歳) で,仰臥位と座位で10,20,30mmHgの怒責を15秒間負荷した.心拍数,血圧,胸部インピーダンスによる一回拍出量,怒責圧,直腸内圧を測定し,本実験で 「排便に有効な直腸内圧」 と定義した直腸内圧10mmHg以上のときの最小怒責圧に対する各指標を,spline関数を用いて1秒間隔で再サンプリングした.その結果,被験者の怒責圧は座位にくらべ仰臥位で高かった (仰臥位:24.0±11.8mmHg,座位:17.5±7.7mmHg,P =0.036).血圧は怒責開始時に上昇した後に低下し,9秒後に再度上昇した.怒責解除直後に低下した後に反跳性に増加した.怒責時の心拍数は上昇し,一回拍出量は減少した.すべての循環系の指標で体位による有意差は認められなかった.したがって,早期から患者の意向に添った座位での排便が可能であることが示唆された.
研究報告
  • 原田 清美, 西田 直子, 北原 照代
    2015 年 14 巻 2 号 p. 164-173
    発行日: 2015/08/20
    公開日: 2016/04/26
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,看護師の看護作業による腰痛への効果的な予防対策を講じるために,腰痛の有無と看護作業との関連を明らかにすることである.
     平成24年10月に,A大学病院に勤務する看護師320人を対象とし,無記名自記式質問紙調査を実施した.
     調査項目は,腰痛の状況,身体的につらい看護作業,移乗・移動介助方法など計32項目である.腰痛の有無別,ベッドから車椅子への移乗,体位変換やベッド上での移動介助方法の比較には,フィッシャーの直接確率検定を用いた.
     その結果, 「現在腰痛がある」 と回答した看護師は144人 (54.3%) であった.腰痛あり群は,なし群にくらべ,多くの看護作業が身体的につらいと感じていた.腰痛あり群は,移乗および移動介助を 「一人で実施している」 と回答した割合が高く,移動介助では有意な差を認めた (P =0.012).また両群ともに 「道具を使う」 と回答した看護師の割合は低かった.これらのことにより,移乗・移動介助を一人で行わないことや道具を活用するなどの腰痛予防対策を取り組む必要性が示唆された.
  • ―二重盲検法による準ランダム化比較試験―
    山本 晴美, 森田 久美子
    2015 年 14 巻 2 号 p. 174-184
    発行日: 2015/08/20
    公開日: 2016/04/26
    ジャーナル フリー
     ヒーリングタッチは,侵襲の少ない補完代替療法の一つである.本研究では,20歳以上の健康な成人20名 (介入群10名,対照群10名) を対象にヒーリングタッチ実施前後の気分の変化などについて二重盲検法による準ランダム化比較試験を実施した.その結果,実施前後の気分の変化 (POMS),身体的・精神的状態,身体生理的変化において,両群間の有意な差は認められなかった.その理由として,対象が健康な成人であること,安静臥床による休息効果,二重盲検法によるプラセボ効果などが考えられた.介入群では,POMSの 「抑うつ-落ち込み」 「怒り-敵意」,Vital Signs (VS) の 「脈拍」 において実施前後で有意な低下 (P <0.05) がみられ,対照群では 「活気」 が実施前後で有意に低下した (P <0.05).面接による質的データでは,介入群で触れられたような感覚,身体的な症状の軽減,精神的ストレスや気分の改善などがみられたことから,今後ヒーリングタッチの看護ケアとしての有用性をさらに検討していく必要がある.
  • ―皮膚表面温度・角質水分量・ATP 値の変化および主観的評価より―
    宍戸 穂, 武田 さちか, 細川 裕也, 岩切 夏希, 吉田 祐子, 矢野 理香
    2015 年 14 巻 2 号 p. 185-194
    発行日: 2015/08/20
    公開日: 2016/04/26
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,清拭時に温タオルを短時間貼用する効果を皮膚表面温度,角質水分量,主観的評価およびATP値の変化から検証することである.調査方法は,準実験デザインとし,健康な男女21名の全員に拭き取り前に温タオルを短時間 (3秒,5秒,7秒) 貼用する清拭と拭き取りのみの清拭を実施し,皮膚表面温度と角質水分量の測定と対象者の主観的評価から有効な貼用時間を決定した.つぎに,健康な男女24名に温タオルを貼用する清拭と貼用しない清拭を実施しATP値を測定して比較した.皮膚表面温度と角質水分量の上昇率および主観的評価から7秒間の貼用が最も有効であったが,ATP値の減少率は貼用あり清拭 (7秒間) と貼用なし清拭の間に有意差はなかった.7秒間の温タオルの貼用は,清拭実施時間が多少長くなることを考慮しても,身体的 ・ 心理的効果が大きいと考える.
その他(トピックス)
  • 笠井 恭子, 小林 宏光, 川島 和代
    2015 年 14 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 2015/08/20
    公開日: 2016/04/26
    ジャーナル フリー
     近年開発されたマット型睡眠計スリープスキャンは,寝具の下から体動を検知し,睡眠判定を行う機器である.インターネットを通じて測定結果を送信するので機器の操作が不要であり,また無拘束,非侵襲な測定であるので,長期的な連続測定も可能である.これらの特性に着目し,われわれはA県内の特別養護老人ホームに20台の睡眠計を設置した.本報告では,この装置の設置に伴う技術的なトラブルや施設 ・ 対象者への負担などの問題,およびその対応策を紹介した.延べ481夜の睡眠のうち記録できなかったのは61例であり,87%以上で睡眠データが得られた.記録エラーのおもな原因は,電源コードの脱落とデータ送信の際の通信エラーであった.これまでに機器の設置や測定に対する負担などの問題は生じておらず,この機器によって施設入居高齢者の睡眠状態を長期的に計測できることが確認された.
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