抄録
本研究は,仰臥位による足浴の身体負荷に対する主観と生理反応の関連を明らかにすることを目的とし,壮年期から老年期にある男女に足浴を実施した.足浴中の身体負荷,感じたこと,体圧,自律神経活動を評価し,身体負荷の有無から,「訴えあり群」と「訴えなし群」に分け比較した.結果,身体負荷の自覚症状はみられたが,程度は「わずかに」であり,「心地よい」「リラックス」などの快の主観的効果が対象者に認められた.「訴えあり群」では自覚症状を訴えた部位に体圧の上昇または低下があり,自覚症状を訴える前は副交感神経活動の上昇傾向,交感神経活動の低下傾向がみられた.「訴えなし群」では,足浴6分後まで副交感神経活動の上昇傾向,足浴12分後まで交感神経活動の低下傾向がみられた.したがって,仰臥位での足浴による身体負荷の自覚症状はわずかなものであり,足浴の主観的効果,生理的効果による快適さが示された.