本研究は,不眠を訴える入院患者に対して,就寝前の足浴の効果について検討した.評価指標は,主観的睡眠感,心拍数,心拍変動解析 (高周波成分 (HF),低周波成分-高周波成分比 (LF/HF)),手首活動量計による睡眠覚醒に関する項目を用いた.
不眠を訴える入院患者 (男性5名,女性4名) において,足浴を行った場合と行わなかった場合とで,心拍数と交感神経活動を表すLF/HFにおいて有意に異なる時間経過が二元配置分散分析によって示された (
P =0.017,
P =0.035).足浴を行った場合は,段階的に心拍数の低下と交感神経活動の低下がみられるが,足浴を行わない場合はこの変化はみられなかった.さらに,主観的睡眠感においても,足浴を行わなかった場合にくらべ足浴を行った場合のほうが因子「入眠と睡眠維持」 (
P =0.017),および因子「睡眠時間」 (
P =0.018) において高い得点を示し,主観的によく眠れていることが示された.これらの結果より,不眠を訴える入院患者に対し就寝前に足浴を行うことで,不眠の改善をもたらすことが示された.
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