日本看護技術学会誌
Online ISSN : 2423-8511
Print ISSN : 1349-5429
ISSN-L : 1349-5429
15 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
研究報告
  • 古島 智恵, 井上 範江, 長家 智子, 分島 るり子, 村田 尚恵
    2016 年 15 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/06/06
    ジャーナル フリー
     本研究は,不眠を訴える入院患者に対して,就寝前の足浴の効果について検討した.評価指標は,主観的睡眠感,心拍数,心拍変動解析 (高周波成分 (HF),低周波成分-高周波成分比 (LF/HF)),手首活動量計による睡眠覚醒に関する項目を用いた.
     不眠を訴える入院患者 (男性5名,女性4名) において,足浴を行った場合と行わなかった場合とで,心拍数と交感神経活動を表すLF/HFにおいて有意に異なる時間経過が二元配置分散分析によって示された (P =0.017,P =0.035).足浴を行った場合は,段階的に心拍数の低下と交感神経活動の低下がみられるが,足浴を行わない場合はこの変化はみられなかった.さらに,主観的睡眠感においても,足浴を行わなかった場合にくらべ足浴を行った場合のほうが因子「入眠と睡眠維持」 (P =0.017),および因子「睡眠時間」 (P =0.018) において高い得点を示し,主観的によく眠れていることが示された.これらの結果より,不眠を訴える入院患者に対し就寝前に足浴を行うことで,不眠の改善をもたらすことが示された.
  • 新関 幸子, 大野 夏代, 樋之津 淳子
    2016 年 15 巻 1 号 p. 64-73
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/06/06
    ジャーナル フリー
     本研究は,仰臥位による足浴の身体負荷に対する主観と生理反応の関連を明らかにすることを目的とし,壮年期から老年期にある男女に足浴を実施した.足浴中の身体負荷,感じたこと,体圧,自律神経活動を評価し,身体負荷の有無から,「訴えあり群」と「訴えなし群」に分け比較した.結果,身体負荷の自覚症状はみられたが,程度は「わずかに」であり,「心地よい」「リラックス」などの快の主観的効果が対象者に認められた.「訴えあり群」では自覚症状を訴えた部位に体圧の上昇または低下があり,自覚症状を訴える前は副交感神経活動の上昇傾向,交感神経活動の低下傾向がみられた.「訴えなし群」では,足浴6分後まで副交感神経活動の上昇傾向,足浴12分後まで交感神経活動の低下傾向がみられた.したがって,仰臥位での足浴による身体負荷の自覚症状はわずかなものであり,足浴の主観的効果,生理的効果による快適さが示された.
短報
  • 細野 恵子, 加藤木 真史, 吉良 いずみ, 菱沼 典子, 田中 美智子, 井垣 通人, 丸山 朱美, 加藤 京里
    2016 年 15 巻 1 号 p. 74-80
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/06/06
    ジャーナル フリー
     本研究は看護師が排便状況を分類・判断する際の基準を明らかにし,臨床で排便状況を分類するためのフローチャートを作成することを目的とした.著者らの先行研究 (加藤ら 2012) で示した排便パターンについて,研究者らは何を指標として分類していたかを振り返り検討したところ,最も優先していたのは便の形状であり,つぎに排便日数,排便量,最後に主観的な感覚または客観的な症状による腹部の張りであった.そこで,先行研究から群別の基準値を設定し,形のない便が2回に1回以上あるか (便形),硬便が4回に1回以上あるか (便形),排便は週に4日以上あるか (排便日数),5回に1回は母指頭大か (排便量),腹部の張り (腹満感) はあるか (主観的・客観的な腹部の張り) という5つの問いから構成されるフローチャートを作成した.フローチャートによって分類される排便パターンは〔良好Ⅰ群〕〔良好Ⅱ群〕〔便秘Ⅰ群〕〔便秘Ⅱ群〕〔便秘Ⅲ群〕〔下痢群〕の6種類になった.
  • 炭谷 正太郎, 渡邉 順子
    2016 年 15 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/06/06
    ジャーナル フリー
     新人看護師 (以下FN) の血管確保技術に対するベテラン看護師 (以下VN) の教示内容をもとに技術の要素を抽出し,血管確保の成否にかかわる技術を可視化した.
     FN21名による留置針を用いた血管確保を実践したあと,VN5名によるFNに対する教育的介入を実施した.教育的介入場面の録画から逐語録を作成し,VNにより教示された技術内容ごとに,A (Antecedent:先行条件),B (Behavior:行動),C (Consequence:結果) に分類した.先行条件であるVNの教示内容をもとに血管確保の成否にかかわる技術の要素を抽出し,血管確保技術の開始から終了までをJIS規格 (JISX0121-1986) に準じアルゴリズムによって可視化した.その結果,FNが留置針を血管内に刺入を果たし血液の逆流を確認してから内針を抜去する間に技術的課題が判明した.FNが自己の技術を客観視し,FNの技術を正確に振り返るためには本アルゴリズムの活用は有効と考える.
feedback
Top