本研究の目的は, 静脈穿刺における血管怒張手技の怒張効果検証のための実験設計, 測定方法, 実施後の怒張効果に焦点を当て, 血管怒張手技の有効性の研究動向を明らかにすることである. Cooper (1998) の統合的文献レビューの方法を参考に行った. 国内文献は医学中央雑誌web版, 海外文献はCINAHL web版およびPubMedを用いて, 「 (血管AND怒張) AND穿刺」, 「 (血管AND拡張) AND穿刺」, 「 (静脈AND怒張) AND穿刺」, 「 (静脈AND拡張) AND穿刺」をキーワードとし, 文献検索を行った結果, 10件の国内文献と6件の海外文献が分析対象となった. 結果, 80%以上が駆血と温罨法に関する文献だった. 血管怒張手技により, 血管断面積や血管径は大きくなり, 血管の深さは浅くなること, 穿刺成功率は増加し, 針の挿入時間は短縮されることが明らかになった. しかし, 同じ怒張手技でも研究間で実施時間や使用用具などの方法に差異があり, 怒張の程度は異なっていたため, 一概に手技の比較ができないと考えられた.