抄録
新人看護師が特に困難を感じる静脈血採血などの静脈穿刺に焦点をあてて熟練看護師の実践から可視化された触診技術を導入した新技術教育プログラムを作成した. 本研究の目的は, そのプログラムを看護学生へ試行し学生の自己評価の視点から新プログラムの改善点を検討することである. 看護学生15名を対象に新プログラム群 (n=7) と従来プログラム群 (n=8) の2群を設定し各プログラムの実施と実技試験, 自己評価を行った. 判断の参考とした熟練看護者4名と同じ採血穿刺部位を選んだ者は新プログラム群が6名 (85.7%), 従来プログラム群が2名 (25.0%) で, 新プログラムと適切な穿刺部位の選択に有意な関係が示された (P=.041). 自己評価より従来プログラムでは一部の学生は触診を適切に実践できず到達度に個人差がみられたが, 新プログラムでは全員が ‘適切’ 以上と評価した. 今後の改善点として解剖学的知識の強化や演習機会を増やし触診による血管の差異を観察することなどが明らかになった.