日本看護技術学会誌
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原著
薬剤漏出による皮膚組織傷害に対するアクリノール湿布の効果に関する実験的研究
石田 陽子三浦 奈都子武田 利明
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2004 年 3 巻 1 号 p. 58-65

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抄録

薬剤漏出による皮膚組織傷害に対する処置として, アクリノール湿布は日常的に用いられている. しかしながら, その効果を裏づける科学的な実証データは少ない. そこで本研究では, 薬剤漏出による組織傷害に対するアクリノール湿布の作用を明らかにすることを目的に, 実験動物を用いた基礎的研究を行った. 起壊死性抗がん剤であるドキソルビシン (アドリアシン®) と起炎症性薬剤として知られているジアゼパム注射液 (セルシン®) を使用し, ラット背部皮膚にこれらの薬剤を漏出後, アクリノール湿布を4日間施行した. 湿布貼用後, 薬剤漏出部の肉眼的観察および組織学的検索を行った. その結果, 各薬剤を漏出したラット皮膚において, 肉眼的に異常所見は認められなかったが, 組織学的に, 皮下組織に重篤な浮腫や炎症性細胞の浸潤が観察され, 薬剤漏出による組織傷害像を確認した. このような薬剤漏出部において, 組織傷害の程度を, アクリノール湿布を貼用した群と貼用しない群で比較検討した結果, アクリノール湿布の効果を示す知見は得られなかった.

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© 2004 日本看護技術学会
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