日本看護技術学会誌
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特別寄稿
グリセリン浣腸による有害事象の現状と今後の課題
武田 利明小板橋 喜久代香春 知永吉田 みつ子大久保 暢子鈴木 美和
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2006 年 5 巻 2 号 p. 4-11

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抄録
 グリセリン浣腸が原因で発症した有害事象について, 1980年以降の論文や研究報告等を用いて調査検討した. その結果, 報告者はすべて医師で, 有害事象発症後の治療 ・ 処置方法に主眼が置かれており, グリセリン浣腸の実施状況等に関する情報は少なかった. グリセリン浣腸による有害事象は主に2つに分類された. 1つは高濃度のグリセリン浣腸液が血管内に移行することによって, 溶血や血尿を認め, 肛門からも出血し腎不全の経過をたどるもの. もう1つは, カテーテルによって直腸穿孔が生じ, グリセリン浣腸液が後腹膜に停留あるいは便汁による感染性炎症や肛門周囲の腫脹 ・ 肛門痛 ・ 肛門出血 ・ 発熱 ・ 嘔気嘔吐を引きおこす経過を取るものであった. このようにグリセリン浣腸による有害事象は多様な病態として発症することが明らかとなっており, 日常的にグリセリン浣腸を実施している看護職者は, 実施状況 ・ 方法を調査 ・ 分析するとともに, 安全なグリセリン浣腸の技術について早急に問い直す必要がある. 技術研究成果検討委員会では, 今後, 会員の協力を得て実施状況を調査 ・ 分析するとともに, 安全なグリセリン浣腸の技術について早急に検討する予定である.
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© 2006 日本看護技術学会
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