日本看護技術学会誌
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原著
術後患者の回復過程における腰背部温罨法ケアモデルの構築
縄 秀志
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2006 年 5 巻 2 号 p. 12-20

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抄録
 婦人科開腹術患者を対象に, 通常のケアを受ける対照群6名と通常のケアに加え腰背部温罨法ケアをうける温罨法ケア群6名の術後1週間における回復過程の特徴を症状および生活状況から抽出し, 2群の比較により温罨法ケアの影響を検討した. さらに, 温罨法ケア群におけるケア前後の言動から温罨法ケアの影響を検討し, ケアモデルを作成した.
 回復過程の指標として, 傷害期には, 創部痛, 腰背部痛, 嘔気 ・ 嘔吐, 目まいの軽減, 排ガス, 歩行開始, 変換期には, 食べられるようになる, 研究者との会話で初めての笑いがでる, 家族の話をする, 同室者との雑談が増える, 筋力回復期には, 職場の話をする, 他者の話をする, 退院 ・ 退院後の生活について話す, が抽出された.
 腰背部温罨法ケアは, 傷害期から変換期にケアの効果が最も顕著であり, この時期の効果が変換期から筋力回復期にも影響していた. ケアの効果として6つのカテゴリーが抽出された. 術後患者に対して, 蒸しタオルの温熱 ・ 湿熱の刺激は 《温熱効果》 と 《リラクセーション効果》 をもたらし, 《爽快感》 と 《症状緩和》 を生じさせる. その結果, 《意欲 ・ 自己効力感》 を引き出し, 《生活行動の拡大》 をもたらす. また, 腰背部温罨法ケアは, Comfortケア (身体的, 精神的, 社会的に力づけるケア) として位置づけられることが示唆された.
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© 2006 日本看護技術学会
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