抄録
本研究は施設に入所中の高齢者を対象に, 就寝前の足浴が睡眠に及ぼす影響について検討することを目的に行った. 本研究に協力が得られた高齢者22人 (80.2 ± 6.4歳) にアクチグラフ (活動量計測) を4夜装着し, 総睡眠時間, 中途覚醒, 入眠潜時, 睡眠効率を足浴実施日と足浴未実施日で比較した. また, OSA睡眠調査票による比較も同時に行った.
その結果, 総睡眠時間, 中途覚醒, 入眠潜時, 睡眠効率, OSA睡眠調査票の各因子について足浴実施日, 足浴未実施日で有意な差は得られなかった. 個々の対象者別の検討でも足浴によって睡眠状況が改善するものと逆に悪化する者の割合に変化がなかった. 一方, OSA睡眠調査項目においては因子1(眠気), 因子2(睡眠維持) の項目で改善者の割合が悪化者の割合を大きく上回っていた. 足浴によって主観的睡眠感の改善する高齢者の存在が明らかになった.