日本看護技術学会誌
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6 巻, 1 号
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原著
  • 高山 直子, 岡崎 寿美子, 中山 栄純
    2007 年6 巻1 号 p. 48-53
    発行日: 2007/05/20
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     本研究は施設に入所中の高齢者を対象に, 就寝前の足浴が睡眠に及ぼす影響について検討することを目的に行った. 本研究に協力が得られた高齢者22人 (80.2 ± 6.4歳) にアクチグラフ (活動量計測) を4夜装着し, 総睡眠時間, 中途覚醒, 入眠潜時, 睡眠効率を足浴実施日と足浴未実施日で比較した. また, OSA睡眠調査票による比較も同時に行った.
     その結果, 総睡眠時間, 中途覚醒, 入眠潜時, 睡眠効率, OSA睡眠調査票の各因子について足浴実施日, 足浴未実施日で有意な差は得られなかった. 個々の対象者別の検討でも足浴によって睡眠状況が改善するものと逆に悪化する者の割合に変化がなかった. 一方, OSA睡眠調査項目においては因子1(眠気), 因子2(睡眠維持) の項目で改善者の割合が悪化者の割合を大きく上回っていた. 足浴によって主観的睡眠感の改善する高齢者の存在が明らかになった.
  • 柴田 幸子, 西之園 絢子, 赤崎 美由紀, 細田 悦子, 正野 逸子
    2007 年6 巻1 号 p. 54-60
    発行日: 2007/05/20
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 人工膝関節全置換術 (以下TKA) 後においてコールドパックを用いたクライオセラピーの有効性を検討するものである。48例48膝を対象とし, 無作為にクライオセラピー実施群 ・ 非実施群に分け, 体表面温度 ・ 出血量 ・ 下肢の腫脹 ・ INR値 ・ 疼痛を計測した。体表面温度と疼痛は, 帰室時 ・ 術後4時間 ・ 10時間 ・ 24時間 ・ 48時間 ・ 72時間に計測し, 出血量と下肢の腫脹は術後 24時間 ・ 48時間 ・ 72時間の計測, INR (プロトロンビン比の国際正常化指数) 値は術前 ・ 術後4日目の測定とした。結果は体表面温度においては実施群の患肢は非実施群よりも1℃程度経時的に低下し有意差が認められた。出血量 ・ INR値においては両群間に有意差は認められず, 腫脹においても大腿周径 ・ 膝関節裂隙周径 ・ 下腿周径それぞれの部位にて有意差は認められなかった. VASを用いた疼痛評価においても有意差は認められなかった. 今回の研究からコールドパックを用いたクライオセラピーではTKA後72時間においては膝内側体表面温度 ・ 出血量 ・ 下肢の腫脹 ・ INR値 ・ 疼痛に対する有効性はないことが示唆された.
研究報告
  • ─臨床工学技士との連携で開発したTwo-Way Call (TWC) の活用─
    山下 智子, 加藤 真由美, 宮下 悦子, 西島 澄子, 樋木 和子, 山本 基善
    2007 年6 巻1 号 p. 61-69
    発行日: 2007/05/20
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     本研究は, 認知機能に低下があり転倒を繰り返す, または転倒経験があり再転倒の可能性が高い行動予測困難な高齢者に, 行動制限することなく転倒予防を行えることを目的に, 看護師が考案し, 臨床工学技士との連携で開発した Two-Way Call (TWC) の有用性を検討した. 対象は, 本研究に同意が得られた転倒を繰り返す, または転倒経験があり再転倒の可能性が高い高齢者8名である. 研究方法は, TWCにおいて, インターホンボタンをナースコールの差し込み部分に接続させ, 体圧などにより作動するボタン部分と従来通り使用できるナースコールが連結し, ナースコールが2双構造となったものを開発した. 導入までの手順は熟練看護師による転倒報告書の内容の検討, 対象の行動観察, TWC設置のための環境調整, TWCの設置, 設置後の作動方法の修正であった. 結果, TWCは高齢者の行動制限や生活習慣を損なうことなく, 設置後の転倒件数は1件のみと減少した. 以上のことから, TWCは転倒リスクの高い行動予測困難な高齢者に対し, 行動制限をすることなく,生活行動に応じて転倒予防ができることを確認できた.
  • 吉永 亜子, 吉本 照子
    2007 年6 巻1 号 p. 70-77
    発行日: 2007/05/20
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     足浴は, 頭痛を軽減させ発汗を促進する看護技術として, 19世紀末に英米から導入され実践に適用されてきた. 本研究の目的は, 日本において足浴がどのように睡眠援助の看護技術に進展したかを, その背景要因とともに明らかにすることである. 1877年以降に出版された看護書や基礎看護学教科書など25文献における足浴や睡眠援助の記述内容, 各時代の看護制度, 看護教育, 睡眠に関する他分野の知見を調べた.
     足浴技術の国内での進展とその背景要因は, ①看護師が患者の身体面の世話全般を担当したことより, 足の熱布清拭に睡眠効果があることを発見, ②熱布清拭や入浴の睡眠効果から類推して, 湯を用いた足浴の睡眠効果を発見, ③体の深部の体温を意図的に上昇あるいは下降させる足浴方法を, 実験により特定, ④睡眠は深部体温低下期にはじまると基礎医学分野で実証されたのをうけ, 足浴が睡眠をうながす機序と足浴方法を見直したこと, と考えられた.
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