日本看護技術学会誌
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殿部筋肉内注射部位における上殿神経 ・ 動静脈損傷の危険性について
佐藤 好恵藤井 徹也佐伯 香織新實 夕香理渡邉 真紀小澤 由紀中野 隆
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2007 年 6 巻 2 号 p. 4-11

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抄録
 殿部筋肉内注射部位として選択される 「四分三分法の点」 と 「クラークの点」 における上殿神経 ・ 動静脈等に関する形態学的検討を行い, より安全性の高い部位について検討した. 実習用遺体24側で上殿神経 ・ 動静脈の走行を観察し, 76側で皮下組織 ・ 筋の分布について計測した. 「四分三分法の点」 では, 梨状筋上孔から中殿筋の後方筋腹へ分布する上殿神経後枝が小殿筋表層の投影点を通過して走行する例は20側 (83.3%) であり, 小殿筋表層での上殿神経の刺入または密接例は 「四分三分法の点」 が 「クラークの点」 よりも2.6倍多かった. よって 「四分三分法の点」 は上殿神経 ・ 動静脈の損傷の危険性が高い部位であった. また 「四分三分法の点」 と比較して, 「クラークの点」 は皮脂厚が1.3 ± 0.9cmで有意に薄く (p<0.01), 中殿筋の厚みは2.1 ± 0.8cmで有意に厚かった (p<0.01). したがって 「クラークの点」 がより安全な筋肉内注射部位であると考える.
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© 2007 日本看護技術学会
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