日本看護技術学会誌
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実践報告
便通不調のある中高年女性の蒸気温熱シートの腹部適用による症状緩和
井垣 通人永嶋 義直山崎 好美菱沼 典子
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2007 年 6 巻 2 号 p. 12-17

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抄録
 排便, 排ガスを促す看護技術として, 「熱布による腰背部温罨法」 が利用されている. 本研究では, 熱布より簡便で安全かつ安定な蒸気温熱を提供する蒸気温熱シートを開発し, 腹部適用による便通を整える効果を検討した. 本シートは, 薄膜状で保持具を用いて腹部に使用し, 適用部位の皮膚表面温度を38~40℃にする蒸気温熱が5時間以上持続する特徴をもつ.対象は, 便通不調が気になる中高年女性59名, 平均年齢54.5歳で, 適用期間は3週間で1日1回腹部に適用した. その結果, 本シート適用前後にて, 排便日数は適用前で平均4.1日/週が適用後で5.1日/週に増加した (p<0.01). さらに主観的評価では, 本シート適用前後にて, 「悩んでいる」 「非常に悩んでいる」 の便秘悩み者では26名から9名, お腹がはる感じ悩み者は23名から8名に低下した. 便秘 ・ 膨満感 ・ 排便改善に有効であった作用機序は, 蒸気温熱シートが副交感神経を優位とし, 胃および腸の運動機能を促進するためと考察される.
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© 2007 日本看護技術学会
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