日本看護技術学会誌
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研究報告
摘便後の便失禁を予防する看護実践モデルの作成および適用による実証的検討
三輪 真理辻村 真由子鈴木 育子石垣 和子山本 則子
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キーワード: 摘便, 便失禁, 訪問看護
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2009 年 8 巻 1 号 p. 84-92

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抄録

 摘便終了後の便失禁は在宅療養者と家族の大きな負担である. 本研究は, 摘便後の便失禁を防ぐ方法として実践家が用いる技術を明文化し, その有効性を実証的に検討した. 便失禁を予防する技術を看護師 4名 ・ 家族介護者 1名から聞き取ってまとめ, 訪問看護師 8名にこのまとめに基づいて摘便を実施してもらい, 実践からデータ収集して検討した. 12名の療養者への計 68摘便のデータを得た. ①まとめに基づいた摘便の実施により便失禁は減少しなかった. ② 「粘液が出る」 という摘便終了の目安がみられた摘便では, みられなかったときよりも便失禁が有意に少なかった. ③ 「粘液が出る」 は浣腸を実施した場合にのみ発生した. ④ 「腸がおりる ・ とじる」 という目安がみられた摘便では, 便失禁が少ない傾向がみられた. 浣腸をする場合, 粘液が出るまで摘便を実施することが, 便失禁予防に役立つ可能性がある. 「腸がおりる ・ とじる」 という目安はさらに検討する必要がある.

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© 2009 日本看護技術学会
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