抄録
本研究の目的は, 長期臥床患者の拘縮手の汚染度と ADL, 入浴頻度等との関連を明らかにし, 拘縮手への効果的な清潔ケアについて検討することである. 65 歳以上の 35 名の入院患者を, 3 群 (Ⅰ群 : 週 2 回入浴の長期臥床患者 12 名 21 手, Ⅱ群 : 週 1 回入浴の長期臥床患者 12 名 22 手, Ⅲ群 : 日常的に手洗い可能な患者 11 名 11 手) に分類した. 手の汚染度は, ATP 拭き取り検査法で評価した. 手指の汚染度は, Ⅰ ・ Ⅱ群がⅢ群に比べて非常に高かった. また, 週 2 回の入浴であっても, 拘縮手の汚染度はほとんど低下がみられなかった. 手浴, 入浴時の入念な手指洗浄はどちらも汚染度を改善し, その効果の持続性は 2 日間程度であった. また, 入浴時の入念な手指洗浄は手浴に比べて洗浄効果が高く所要時間も短かった. したがって, 長期臥床患者の拘縮手の衛生性を向上させるためには, 入浴中の入念な手指洗浄もしくは手浴ケアを週 3 回かそれ以上実施することが必要であると推測された.