日本看護技術学会誌
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原著
便通不調のある中年女性の蒸気温熱シートの腰部適用による症状緩和
井垣 通人永嶋 義直菱沼 典子
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2009 年 8 巻 2 号 p. 29-36

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抄録

 排便, 排ガスを促す看護技術として, 「腰背部熱布温罨法」 が利用されている. 本研究では, 適用部位の皮膚表面温度を 38~40℃にする蒸気温熱が 5 時間以上持続する蒸気温熱シートを開発し,腰部適用による便通を整える効果と適用面積の違いによる効果を検討した. 試験には面積の異なる2 種類のシート (W サイズ : 120×204 mm, S サイズ : 102×120 mm) をベルト型保持具にて腰部に装着した. 対象は, 便通不調が気になる中年女性 51 名 (平均年齢 54. 1 歳) で, 2 群 (第1 群 : W サイズ (0 ~ 2 週) → S サイズ (3 ~ 4 週), 第 2 群 : S サイズ (0 ~ 2 週) → W サイズ (3 . 4 週) )に分け, 両サイズシートを 1 日 1 回腰部に 4 週間適用した. その結果, 適用 2 週間にて, W および S サイズとも 「便秘」 症状が有意に改善し, 「下痢様症状, お腹がはる感じ」 はW サイズのほうに有意な改善効果を得た. ただし, 適用時間経過とともにサイズに関係なく 「下痢様症状, お腹がはる感じ, お腹の痛み」 症状に有意な改善を確認し, また両群の中で便秘悩みを訴える 20 名の排便調査にて, 排便日数の有意な増加 (試験前 : 4.2 →試験後 : 5.4 日 / 週) を得た (p< 0. 001). 本検討より, 腰部への長時間の蒸気温熱適用は, 腹部適用と同様に, 便通不調が気になる中年女性の症状緩和と排便日数増加に効果があることを確認した.

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© 2009 日本看護技術学会
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