日本看護技術学会誌
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原著
静脈穿刺に用いる駆血帯装着時の駆血帯の張力と静脈怒張度との関係および怒張度に影響する身体的要因についての検討
加藤 晶子森 將晏
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2009 年 8 巻 3 号 p. 42-47

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抄録

 静脈穿刺をする際の適切な駆血圧を検討する目的で駆血帯を装着するときの駆血帯を締めつける力 (張力) と静脈怒張度との関係を20~75歳の健康な男女60名を対象に計測した.また,静脈怒張度と身体的要因との関係についても検討した.ベルト式駆血帯は肘窩より5cm近位の上腕に装着した.分析数は58名,(男性26名,女性32名),年齢 : 48.7±19.5歳,身長 : 161.5±7.7cm,体重 : 60.3±15.7kg,最高血圧 : 116.4±15.5mmHg.駆血圧はばらつきがあるものの,張力1.5kgで約20mmHg,2kgで約40mmHg,2.5kgで約65mmHg,3kgで約90mmHg,3.5kgで約120mmHgとほぼ直線的に増加した.静脈怒張度は2~3kgで増加し,3.5kgではやや低下した.また,静脈断面積も3kgまでは増加するが,3.5kgでは怒張度同様にやや低下した.これらのことから,静脈穿刺に適切な張力は2~3kg (駆血圧 : 40~90mmHg) であると考えられた.また,身体的要因と静脈怒張度との関係をみると,駆血前および張力3kgにおいて,体重,BMI,上腕三頭筋皮脂厚 (TSF) および上腕周囲径と怒張度の間に逆相関がみられた.

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© 2009 日本看護技術学会
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