日本看護技術学会誌
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研究報告
嚥下障害者への摂食援助において用いる道具と看護師の身体の同一化
河合 桃代茂野 香おる山田 恵平松 則子境 裕子成川 美和川島 みどり
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2009 年 8 巻 3 号 p. 48-56

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抄録

 本研究の目的は,摂食援助場面での熟達看護師の道具の使用方法から,嚥下障害者が口から食べることを可能にする技術を明らかにすることである.研究方法はビデオ録画を用いた参加観察法と半構成的面接法を用い,1名の看護師を研究参加者とした.
 結果,看護師の口腔ケアの捉え方が独創的であり,熟達した看護実践の特徴として【道具と看護師の身体の同一化】が見出された.看護師はスプーンや口腔用ブラシ (以下モアブラシ) の先を,道具を把持した示指の延長として自身の身体の一部のように捉えて情報を感知し,嚥下障害者の口腔内の状態を読みとっていた.摂食援助時は,スプーンで舌の抵抗力を感じていた.また,口腔ケアは,食前 ・食後のみでなく,食事中でも必要時モアブラシを使用した.そして,咽頭や舌に付着した唾液や痰等が絡んだ粘度の高いものを “パック” と喩え,モアブラシを用いて除去して口腔内を保清し,舌の感覚受容器が機能するよう働きかけて嚥下を促した.

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© 2009 日本看護技術学会
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