日本看護技術学会誌
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原著
腰背部温罨法の快の性質
―負荷からの回復過程における快不快と自律神経活動の変化から―
加藤 京里
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2010 年 9 巻 2 号 p. 4-13

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抄録

 腰背部温罨法は,日常的に行われる看護技術であるが,腰背部温罨法の「気持ちよさ」は,どのような身体の変化を伴うのかまだ明らかになっていない.よって本研究では,不快なストレスからの回復過程を促す腰背部温罨法の有用性を示すために,腰背部温罨法の快の性質を明らかにする.
 対象者は健康な女性であり,実験群 (n=9) は内田クレペリン精神検査の後に,腰背部 (第7頸椎から第4腰椎) に約60℃の蒸しタオルを 10分間受けた.対照群は同一人物が実施した.
 測定指標は,表面皮膚温 (足背部と手掌部) 心拍変動,皮膚電気伝導水準,快-不快と覚醒度である.
 時間経過との交互作用が認められたのは,足背部皮膚温 (p=.047) と快感情 (p=.017) であり,実験群のほうが高く経過した.また,眠気 (p=.020) と手掌部皮膚温 (p=.008) は,腰背部温罨法中に実験群が有意に高かった.心拍変動と皮膚電気伝導水準は群間に有意な差はみられなかった.
 腰背部温罨法により,気持ちのよい眠気が生じ,皮膚交感神経が抑制され,その結果として末梢皮膚温が上昇したと考えられる.腰背部温罨法はストレス負荷後の心身の休息を促す方向に働く可能性がある.

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© 2010 日本看護技術学会
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