2020 年 25 巻 1 号 p. 44-
【要旨】新生児単純ヘルペス脳炎はまれな疾患であり、いまだに予後不良な症例も少なくない。新生児単純ヘルペス脳炎の症状は非特異的であり、診断は容易であるとは限らない。皮膚症状を欠くこともまれでなく、単純ヘルペス感染症を想起できないこともあり得る。診断には血液や髄液の PCR 法がきわめて有用であるが、発症後早期にはウイルス DNA が検出されないことがある。頭部 MRI は発症後早期から異常を認める。特に拡散強調画像における散在性の異常高信号を認めることが特徴的である。治療は、高用量のアシクロビルを十分な期間投与することが基本である。高用量アシクロビル投与によって、神経学的予後が改善したことが報告されている。