2020 年 25 巻 1 号 p. 95-
【要旨】母子感染(おもに経母乳感染)はヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1、以下 HTLV-1)の主要な感染経路であり、成人T細胞白血病や HTLV-1 関連脊髄症のような疾患の発症の一次予防として、経母乳感染を防ぐことは重要である。2011 年から妊婦の HTLV-1 抗体スクリーニングが公費助成されるようになり、母子感染予防対策が全国的に展開されるようになったが、母乳以外の感染経路の存在、キャリア女性と生まれてきた子どもへの支援体制・フォローアップ体制の不備、夫婦間感染(水平感染)に続く母子感染の存在など、課題が多く残されている。