2022 年 27 巻 1 号 p. 148-
【要旨】免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)投与下に発症した中枢神経系の免疫学的有害事象(immune related Adverse Events:irAE)の3 例を報告する。頸髄の脊髄炎例は ICI 中止とステロイド加療で、神経症状の改善は限定的であったが MRI 異常信号の軽減を認めた。抗 GAD 抗体が陽性で筋症状が並存し、脳 MRI で両側尾状核と淡蒼球に異常高信号を認めた脳炎例は、ICI の中止およびステロイド加療で意識障害が改善し、MRI 異常信号が消失した。無症候性の肥厚性硬膜炎を発症した例では、ICI の中止のみで硬膜の肥厚は消失した。ICI 投与下に発症した中枢神経症状に対し、ICI の中断もしくは中止を行い、重度の中枢神経障害や悪化した場合や脊髄炎例では ICI 中止に加え追加の免疫療法を検討する必要がある。