【要旨】抗アクアポリン4(aquaporin 4:AQP4)抗体が発見されて以後、細胞表面抗原に対する抗体を検出することに重点が置かれる大きなパラダイムシフトがあったといえる。そのようななかで、わが国でも非ヘルペス性の自己免疫性脳炎のなかから最初に発見されることになったのが NMDA 受容体抗体関連脳炎である。以後、辺縁系脳炎において LGI1 抗体や AMPA 抗体などつぎつぎと自己抗体が報告されるにいたっている。これらの自己抗体は髄腔内で持続的に産生されることが知られ、病理学的に異所性リンパ濾胞を形成する形質細胞から持続的に産生されていることが明らかになっているが、AQP4 抗体のような補体介在性の細胞傷害はまれであり、NMDA 受容体抗体は抗体介在性に内在化させることで病原性を発揮するほか、LGI1 抗体はシナプスにおける蛋白結合を阻害することで、てんかん発作を誘発する。