2025 年 30 巻 1 号 p. 117-123
免疫性神経疾患に対する治療の歴史は、感染症、血液疾患、血液系腫瘍、膠原病に対する治療の転用の歴史といえ、crudeな古典的免疫抑制治療から分子標的治療である抗体製剤へと治療の趨勢が変遷している。特に現在、液性免疫の主役を担うB細胞や形質細胞に対するバイオ製剤が席巻しており、高い治療効果を上げている。その一方で、B型肝炎、帯状疱疹などの寄生ウイルスの再活性化や、COVID-19パンデミック下で明らかとなった易感染性やワクチン不応といった、感染症への脆弱性が問題となっている。本稿では、抗CD19/CD20抗体製剤と感染症の問題に焦点をあてて概説する。