2025 年 30 巻 1 号 p. 32-36
HTLV-1関連脊髄症(HAM/TSP)は、従来欧米で熱帯性痙性対麻痺と診断されていたが1986年にHTLV-1による脊髄炎であることが報告された。その臨床はいくつかの特徴を踏まえると比較的均質で神経診察で診断可能である。脊髄には炎症細胞がびまん性かつ広範囲に浸潤、長策路の脱髄所見も認めるが局所的所見に乏しい。臨床的にも筋力低下のない病初期から顕著な錐体路徴候を確認でき、遠位端優位の辺縁不明瞭な感覚障害、蓄尿・排尿機能の混在する排尿障害を認める。さらに、腸腰筋とハムストリングスの筋力低下が病初期から特徴的であり、これらの神経学的特徴を踏まえると多くのHAMが神経学的診察のみで診断可能であろう。