2025 年 30 巻 1 号 p. 96-101
ダニ媒介性脳炎(TBE)はマダニの吸血により罹患し重篤な症状を呈するウイルス性人獣共通感染症であり、ユーラシア大陸の広域で年間1万人以上の患者が発生している。日本では、1993年に北海道において、国内初のTBE確定診断症例が報告され、その後、2025年1月まで7名の患者が発生し、うち2名は死亡している。われわれは、原因となるTBEウイルスは全国的に分布している可能性を示してきており、また、過去にも診断にいたらなかったTBE症例があったことを疫学研究により明らかにしている。本稿では、TBEVの一般的な情報とともに、われわれが行ってきたTBEに関する最新の研究知見を紹介する。