2018 年 23 巻 2 号 p. 127-132
脳動脈瘤塞栓術においてコイルのmigrationは約2~6%で起こりうるが,舌動脈仮性動脈瘤の塞栓術中にコイルが内頚動脈へmigrationした症例を経験したので報告する.症例は75歳の男性,義歯の誤嚥により発生した舌動脈仮性動脈瘤の再発に対して血管内治療中にコイルが中大脳動脈へmigrationした.外頚動脈をコイルで塞栓する際は,遠位部へのmigrationは稀なためflow controlなどを行わないことが多い.本症例のように巨大仮性動脈瘤では塞栓後に血流の状況が変化する可能性があり,拍動性の血流による乱流が外頚動脈本幹だけでなく内頚動脈にまで及び,コイルが内頚動脈へmigrationをしたと考えられた.分岐部が内頚動脈に近い場合などは外頚動脈から内頚動脈へのコイルの迷入の危険性も十分に考慮すべきであると考えられる.