抄録
根粒着生程度の異なる3系統,関東100号(根粒超着生)とエンレイ(根粒着生)およびEn1282(根粒非着生)の乾物生産量(W)-蒸発散量(ET)関係を調査した.これとは別に,フクユタカ(正常品種,F)とT201(根粒非着生系統,T)を用いて,F/F(接穂/台木)(花無切除),F/F (花切除),F/T(花無切除),F/T(花切除)および2F/F(花無切除)を作出して,これらのW-ET関係を比較した.根粒非着生ダイズで認められたW-ET関係を基準とするとき,窒素(N)固定量が大きかった系統および組み合わせは同一のWに達するのに要したETが大きく,またこのET差(ΔET)に対応する乾物重差(=ΔET/蒸散係数,ΔW)は根粒重(Ndw)およびN固定量と密接に関連づけられた.関東100号は著しく大きいNdw/ΔWを示したが,N固定コストに関しては根粒着生系統と異ならず,また実験間に明確な差異は認められなかった(0.098±0.006 Ng g-1乾物).以上から,ΔWはN固定量の良い指標であると結論した.