日本作物学会紀事
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収量予測・情報処理・環境
乾物生産量と蒸発散量の測定を介したダイズの共生窒素固定コストの検討
角 明夫森 彩恵林 琢二
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2011 年 80 巻 2 号 p. 190-198

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抄録
根粒着生程度の異なる3系統,関東100号(根粒超着生)とエンレイ(根粒着生)およびEn1282(根粒非着生)の乾物生産量(W)-蒸発散量(ET)関係を調査した.これとは別に,フクユタカ(正常品種,F)とT201(根粒非着生系統,T)を用いて,F/F(接穂/台木)(花無切除),F/F (花切除),F/T(花無切除),F/T(花切除)および2F/F(花無切除)を作出して,これらのW-ET関係を比較した.根粒非着生ダイズで認められたW-ET関係を基準とするとき,窒素(N)固定量が大きかった系統および組み合わせは同一のWに達するのに要したETが大きく,またこのET差(ΔET)に対応する乾物重差(=ΔET/蒸散係数,ΔW)は根粒重(Ndw)およびN固定量と密接に関連づけられた.関東100号は著しく大きいNdw/ΔWを示したが,N固定コストに関しては根粒着生系統と異ならず,また実験間に明確な差異は認められなかった(0.098±0.006 Ng g-1乾物).以上から,ΔWはN固定量の良い指標であると結論した.
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© 2011 日本作物学会
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