2019 年 24 巻 1 号 p. 1-5
当院は人口43万人の医療圏で唯一の救命救急センターである.救急搬送件数も年々増加し2013年には年間8,000件を超えており,受け入れ困難症例が多くなってきた.2015年と2016年の救急搬送受け入れ断り症例に関して検討を行った.2015年救急搬送件数7,846件,救急搬送受け入れ断り症例は191件(2.4%)であった.2016年救急搬送件数7,161件,救急搬送受け入れ断り症例は538件(7.0%)であった.断った理由が当院側にある(救急外来満床,入院病床満床など)割合は,2015年は40%で,2016年は32%であった.三次症例は可能な限り受け入れが必要である.軽症を断ることで,救急外来満床,入院病床満床を減らすことが可能となると考え,近隣二次病院へ軽症患者受入の依頼,救急隊に軽症患者を二次病院へ搬送依頼を行った.2017年には,断り症例はさらに増加し,救急外来満床,入院病床満床が増えた.受け入れ体制の整備だけでは限界があり,退院促進,救急病床退室促進など出口側の体制整備が必要である.