NEUROSURGICAL EMERGENCY
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Print ISSN : 1342-6214
破裂脳動脈瘤クリッピング術後早期に再出血を来たした4症例の検討
竹田 理々子武 裕士郎鈴木 海馬中島 弘之吉川 雄一郎栢原 智道栗田 浩樹
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2019 年 24 巻 1 号 p. 66-71

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抄録

 当科で直達術を施行された破裂脳動脈瘤420例のうち,術後早期に再出血を来たした4症例(1.0%)について,その原因を後方視的に検討した.動脈瘤の局在は中大脳動脈(MCA)分岐部1例,MCA遠位部1例,脳底動脈上小脳動脈(BA‒SCA)分岐部1例,前交通動脈(Acom)1例であった.瘤径はMCA遠位部例が7 mmであったが残りの3例は3.5 mm以下の小型瘤(1.5‒3.4 mm:平均2.5 mm)であった.2例でdome‒neck aspect比が小さく,かつ分枝に乗るような形で瘤が存在していた.また小型例2例で術中premature ruptureを来した.再出血の時期は術後6‒7日目が2例,術後23‒26日目が2例であった.術翌日の造影CT angiographyで1例はわずかにネック残存を認めたが,2例は動脈瘤の残存を指摘できなかった.再出血後,2例で新規脳梗塞を呈しmRSが低下した.早期再出血の原因はネック閉鎖時のclosure lineが不適切であったためであり,その背景にはpremature rupture,小型,dome寄りからでる分枝などの要素が影響していると考えられた.これらの要素を複数持つ破裂脳動脈瘤では,術中の手技に充分に注意するとともに,術後早期に血管評価を繰り返すなどの注意が必要と考えられた.

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© 2019 日本脳神経外科救急学会

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